「し、てほしい。もっと、キス……」
ものすごく小さな声で言ったのに、自分の言葉がやけに大きく耳に響いて、もう本当に死ぬほど恥ずかしかった。
あぁ、どうしよう。
こんなこと言って、もう燿の顔絶対見れない。
沸騰しそうなくらいに熱くなっている顔を隠したくて、燿の制服のシャツにぐりぐり押し付ける。
そのとき、燿の腰に回していた腕の片方が強い力でつかまれた。
結構な力で燿にしがみついていたはずなのに、あたしの腕は一瞬で引き剥がされ、すぐに背中に鈍い衝撃が走る。
何が起きたのかわからず顔をあげたら、すぐ真上に燿の顔があって、燿の両腕に捕らわれるようにして路地の外壁に押し付けられていた。
「何言い出すのかと思ったら。ヤバい、柑奈。それ、死ぬほど可愛いんだけど」
あたしを見下ろして、燿がクスクスと笑った。
そうして、唇が軽く触れ合うかどうかギリギリのところまでゆっくり顔を近づけてくる。



