「覚悟?」

あたしを見つめる燿の瞳が、獲物を捕らえた獣のように鋭く光る。


「もう取り消せないよ?俺を好きって言ったこと」

低く響いた燿の声に、背筋がゾクリとして、同時に鼓動も速くなる。


「俺と付き合う?」

燿が甘さを含んだ優しい声で訊ねてくる。

小さく頷くと、燿が満足そうにふっと目を細めた。

年齢よりも大人びて見えるその表情にドキリとする。

ほんの少しだけ期待して目を伏せたら、燿の気配が近づいてくるのがわかった。

目を閉じたままドキドキと心臓を高鳴らせていると、燿の唇が軽いリップ音とともに額に触れてすぐに離れた。

あ、れ……?おしまい?


緊張して待ち構えたのに、燿からのアクションが思ったよりも軽くて拍子抜けしてしまう。

目を開けてゆっくりと一度瞬きしたら、もう目と鼻の先の距離に顔を近づけていた燿がクスリと笑った。


「物足りない?」

揶揄うような口調で問いかけられて、一瞬で顔が真っ赤になるのがわかる。