両頬を挟んで目が反らせないようにしてから、燿があたしをじっと見る。

その真っ直ぐな眼差しは強く、凛としていて、とても綺麗だった。


「燿のこと、好き」

いつのまにか大人っぽくなった燿の目を見つめ返しながら、小さくつぶやく。

あたしの告白に、嬉しそうにほんの少し目を細めた燿は、だけど意地悪にこんなことを訊いてきた。


「響より?」

答えなんて、燿が一番よくわかってるくせに。


「好きだよ。今朝、燿に振られたあと、あたしがどれだけ泣いたと思う?響に振られたときの比じゃなかったんだからね」

悔しさに唇を噛んだら、燿が意地悪く笑いながら右手の親指でそこに触れた。


「へぇ。そんな泣いてくれたんだ?」

「バカにしてるでしょ」

「全然。ただ、いつのまに柑奈が俺のことそんな好きになったのかなーって思ってるだけ」

「やっぱり、バカにしてるじゃない」

「してないよ。それより柑奈、覚悟できてる?」

燿が揶揄うような口調でそう言って、愉しそうに口角を引き上げる。