「響と梨里の話聞いて、不安になったの。燿が何度も言ってた『本気』も、あたしが燿に落ちさえすれば終わりなのかな、って。だから、そう簡単に落ちたりなんてしないんだって、思って。意地張って、わざと燿のこと避けた。ごめんね……」
長い言い訳を終えたら、くだらない意地を張った自分が情けなくて悲しくて。
また涙が溢れた。
あたし、ほんとにバカだな。
今朝駅で燿を無視したりしなければ、こんなふうに泣きながら燿と向き合うことなんてなかったかもしれないのに。
あぁ、でも。
あの綺麗なひと。
あのひとがいる限り、遅かれ早かれこういう結末を迎えることになってたのかな。
手のひらで目元を拭いながらうつむく。
だけど、切なさと後悔で胸いっぱいのあたしに向かって、燿は無情にも冷たく深いため息を吐いた。
「バカだな、柑奈」
人を嘲るような燿の言葉が、ただでさえ傷付いているあたしの心にグサリと突き刺さる。
「そ、そんな言い方しないでよ」
涙を拭きながら顔をあげたら、燿が呆れ顔であたしを見下ろしていた。



