「信じてくれなくてもいいけど、今朝、響と一緒にいたのは偶然だよ。ほんとは梨里と一緒に登校してたけど、電車を降りたら梨里の友達があの子のこと連れてっちゃったんだって」
あたしの話を燿がどれだけ信じてくれるかはわからない。
だけど、燿が何も言わないからそのまま言葉を続けた。
「駅で燿を避けたのは、悔しかったから」
口を閉ざしたままの燿の眉が、あたしの言葉に反応するみたいにぴくりと動く。
「燿、今までで本気出して落とせなかった女の子いないんでしょ。昨日、響と梨里が話してるのを偶然聞いちゃった。それなのに、あたしなんかにはちょっと手こずってるんだって。響も梨里も笑ってた」
涙で濡れた顔のまま、少しだけ微笑むと、燿が困ったように眉を寄せたのがわかった。
何か言いたそうに、燿の唇が動く。
だけど、燿の言葉を聞くのが怖くて急いで話し続けた。



