美姫さんって、さっき燿と一緒にいた綺麗な人のことだよね。
こんなふうにため息を吐くってことは、あの人はやっぱり燿の……
あの人、綺麗で大人っぽくて、燿の隣がよく似合ってた。
さっき見た光景が鮮明に蘇ってきて、胸が苦しくなる。
すぐ目の前にある、煩わしそうな燿の顔。
不機嫌そうな燿からいつもの明るい笑顔を引き出せるのは、あの綺麗な彼女なのかな。
そんなことを考えていたら、自然と目に涙が溜まる。
「どうしてまた泣きそうになってんだよ」
燿がため息をつきながら面倒臭そうにそう言うから、限界まで堪えていた涙がとうとう頬に伝い落ちた。
「燿のこと、好きだからだよ」
涙声で小さくつぶやいたら、燿が驚いたように目を瞠った。
「何言ってんの。あんなに響のこと好きだったくせに」
あたしの告白を信じてくれていないのか、燿が憎々しげにそう言った。
「そう、だね。でも、気付いたら、響のこと好きだったときの気持ち、よくわからなくなってて……どうしてか、燿にばっかりドキドキするんだよ」
あたしを見つめる複雑そうな燿の表情に胸が痛む。



