オレンジ・ドロップ



それから、口を塞いでいるほうの腕をさっと回して燿があたしの背後に回り込む。

後ろから羽交い締めにされるみたいに押さえつけられて口を塞がれたあたしは、ふがふがと声にならない声で燿に抗議した。

こんなに綺麗な彼女の前で、いったいどういうつもりなんだ。

燿が何をしたいのか全然わからない。

背後に回った燿の顔が見えないから、仕方なく少し離れた場所に立つ綺麗な彼女に視線を向ける。

こんなことをする燿に、彼女はきっと驚いてるだろうし、自分以外の女に気安く触れてる燿に、哀しい想いもしてるだろう。

そう思って気が気じゃなかったのに、ぼんやりと視界に映った彼女はなぜか微笑ましげにあたし達のほうを見ていた。

嫉妬してるわけでも、哀しい想いをしているわけでもなさそうな彼女の目。

それは、どういう心境のときに見せる表情……?

困惑していると、すぐ耳元で燿の声がした。