こんな綺麗な人に、あたしなんかが敵うわけない。
散々人の気持ちをかき乱しておいて、燿もタチが悪いよ。
こんなに綺麗な本命の相手がいるなら、あたしなんかに中途半端に構わないでほしかった。
あたしが付け入る隙なんてないくらい、完璧で燿にお似合いの彼女。
完全に、失恋だ。
立ち去る前に、せめてひとこと文句でも言ってやろうと思って燿を睨む。
だけど、いざ燿と目が合うとうまく言葉が出てこなくて。
その代わりに、右目からほろりと涙が一粒零れ落ちてしまった。
なんでこんなときに。
焦って、手のひらで何度も頬を拭う。
「燿の彼女、すごい綺麗でびっくり。今度、ゆっくり紹介してよね。ははっ」
「あの、ちょっと待って。あたしは……」
泣き笑いするあたしに、綺麗な彼女が焦ったように話しかけてくる。
でも、あたしのほうにはもうこれ以上彼女と会話する心の余裕なんてなかった。
ただ、目の前の現実を受け入れるだけで精いっぱい。



