「柑奈?」
強く両手を握りしめたとき、後ろから名前を呼ばれた。
焦って勢いよく振り返るとそこには燿がいて、その横に髪の長い女の人が立っていた。
カジュアルな私服姿だけど手にはブランドのバッグを持っていて。大人っぽくて、高校生には見えない。
奈津が話してた、大学生の女の人なんだろう。
聞いていたとおり、顔立ちの整った綺麗な人だ。
意志の強そうな切れ長の大きな瞳が、彼女の綺麗さを一層引き立てている気がする。
今まで見た中で一番「美人」という言葉が似合う、そんな人だった。
あたしがあまりにじっと顔を見つめていたからか、彼女が眉尻を垂れて助けを求めるような眼差しを燿に向ける。
「燿くん、お友達?」
ほんのりと朱に染まった形の良い唇が、遠慮がちに動く。
「あぁ……」
燿が曖昧な相槌を打つと、彼女が今度はあたしのほうに視線を向けた。
困ったようにこっちを見つめるその目が、あたしを憐れんでいるような気がして。
悔しくて、哀しい。



