誰もいなくなってしまった放課後の教室で、椅子に座ったまま大きく伸びをする。
時計を見たら17時前で、予想以上に時間がかかったことにうんざりとした。
本当だったら今頃家に着いて、部屋で失恋のショックに心を痛めてるはずだったのに。
今日が提出期限だった英語の課題が終わっていなくて、居残りすることになってしまった。
朝からちゃんと授業に出ていれば、他の授業のときにこっそり内職して課題を仕上げられたのだけど、朝イチで燿に振られたあたしは、授業が始まる前に思いの外泣きすぎてしまった。
目が腫れて午前中いっぱい保健室でお世話になり、午後からは心が空っぽ状態で授業を受けたあたしに、彩音が残酷な事実を突きつけた。
「次の期末、この課題の提出点が5点ついて95点満点になるって。柑奈が授業サボってたときに先生が言ってたよ」
「サボってたわけじゃないよ……」
「そうなんだ?でも、柑奈、前回英語赤点ギリギリって言ってなかった?ちゃんと出しときなよ」
それを言われたら、返す言葉がない。
落ち込んでばかりもいられなくて、必死で課題を終わらせて今に至る。



