オレンジ・ドロップ



高等部と中等部を繋ぐ中庭まで辿り着くと、燿が今度はそこにある校舎同士を結ぶ渡り廊下の陰へとあたしを引っ張っていく。


こんなところまで無理やり引っ張ってきて、なんだって言うんだ……

強い力で引きずるだけで何も言わない燿に、あたしもだんだんと苛立ち始めていた。


「燿、いい加減に離してっ!」

イラついた声でそう怒鳴り散らした瞬間、燿があたしを振り返った。

無言であたしを見下ろすその瞳が、さっきまでと非にならないくらい冷たい光を放つ。

冷たい表情を浮かべる燿は、いつも人を揶揄ってはけらけら笑う、明るい彼とは別人みたいだった。


「ど、したの……?燿、なんか怖い……」

燿を取り巻く緊迫した空気で、あたしの苛立ちなんて簡単に吹き飛ぶ。

いつもと違う燿の様子に、自然と頬がひきつった。

気まずい。

少しでも場の雰囲気を変えたくて、ひきつる頬を強張らせながら必死に燿に笑いかけてみる。

だけど燿は笑顔を返す代わりに、怖い顔で無言のままに、あたしの両肩に手をのせた。