「ちょっといい?」
怖い顔でそう言ったかと思うと、燿が返答も待たずにあたしの手首をつかんだ。
そうして、早足であたしを学校のほうへとグイグイ引っ張っていく。
ハイスピードであたしを引きずりながら歩く燿は、登校する生徒たちからの注目を浴びている。
ときどき横顔に刺さる他人の視線が痛かった。
「ちょっと、燿。痛い。それに、ペース速すぎる……」
つかまれているほうの手首を捻りながら抵抗してみたけど、燿は学校に着くまで一度もあたしを振り返らなかった。
校門を通り抜けると、燿は高等部の昇降口を通過して、校舎横の人通りが少ない細い通路を入っていく。
その先をずっと行くと、うちの学校の中等部の校舎に繋がる中庭がある。
昼休みは、たまーに生徒たちがそこでサッカーとかバレーボールをして遊んでるけど、朝の授業が始まる前にそこに立ち入る生徒はほとんどいなかった。
「ねぇ、燿。どこまで行くの?」
燿の背中に何度もそう声をかける。
だけど、あたしを乱暴に引きずっていく燿の背中はずっと無言のままだった。



