「な、どうしてここで燿が出てくるのよ!」
「燿に何か聞かれたら、誤解だってちゃんと言えよ」
「だから、どうして燿が出てくるのってば!」
響が燿のことを話せば話すほど、過剰に反応して彼を否定する声が大きくなってしまう。
名前を聞くだけで、目の前に燿がいるわけでもないのに恥ずかしくて顔が熱くなってくる。
「もう、燿の話はやめて」
真っ赤になりながら肩に載せられた響の腕を押しのけたとき、今度は後ろからその肩をつかまれた。
「俺が、何?」
背後から聞こえてきた声の冷たさに、一瞬ゾクリとする。
肩越しに振り返ると、燿が無表情であたしを見下ろしていた。
やけに冷たい光を放つ燿の双眼が、じっと射抜くように見つめてくる。
「あ、えっと……」
助けを求めるように響を振り返る。
だけど彼は、唇に薄っすらと笑みを浮かべてあたしから一歩離れただけだった。



