オレンジ・ドロップ



「燿、あれで割とモテるしね。放っといたっていつも勝手に告白されてるけど。燿が本気出して落ちなかった子って、今までいないんじゃないかな」

聞こえてきた梨里の言葉に、ズキンと胸が痛んだ。


「へぇ。じゃぁ、燿が柑奈のこと落としきれるか見物だな。でも、もう時間の問題じゃない?」

続いて聞こえてきた響の言葉と笑い声に、さらに胸がズキンとなる。


「ふふ、どうかな。柑ちゃん、手強いよ?……っ、ひ、びき――……」

梨里の笑い声に混ざって衣擦れの音がして、ふたりの間に流れる空気が変わる。

梨里の部屋から、ため息にも似た甘い息遣いが微かに聞こえてくる。

だけど、聞いていれば気恥ずかしくなるに違いないその音はどこか遠くて。

あたしは世界から隔離された真っ白な空間に、ひとりで立ち尽くしているような気持ちになった。

今聞いたばかりの梨里と響の会話が、頭の中を支配する。