「なんか、変なこと想像してる?」
黙っていたら、燿が急に顔を近づけてきたから、ドキッと心臓が跳ねた。
「し、してませんっ!ていうか、梨里と響はそれが日常会話でもいいんだよ。付き合ってるんだから。燿とあたしはそんなんじゃ――……」
反論してたら、燿の大きな手で両頬をぐっと潰すみたいに押さえつけられた。
唇の先がタコの口みたいに尖ってしまって、続けようと思った言葉を遮られる。
「じゃぁ、俺と付き合う?」
燿の綺麗な黒い瞳が、頬を押さえつけられて変顔状態になっているあたしをじっと見つめる。
絶対笑える顔をしてるはずなのに。燿が真剣な目で見つめてくるから、胸のドキドキが抑えられない。
この頃燿に感じる、この胸のドキドキは何……?
あたし、ひとりの男の子として燿に惹かれ始めてるのかな……
見つめ返していると、燿がふっと口元を緩ませて、あたしの頬を押さえつけていた手を離した。
「俺、本気だから。だから、柑奈も本気で考えて」
燿の声が、切なく響く。
その言葉を受け止めるあたしの胸は、どうしようもなく痛く切なく鳴いていた。



