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「えー、ウソーっ!柑奈、振られたの?」
「あたしもびっくりだよ。茅原が好きなのは絶対柑奈だと思ってた」
「大きな声出さないでよ、ヘコむから。それに、響来たらどうすんのよ」
次の朝。教室で大きな声を出す彩音と奈津に待ったをかける。
「でもほんとになんで振られたの?茅原って、幼なじみっていう贔屓目抜いても柑奈には優しくしてるように見えたけどな」
「うん。柑奈から『付き合ってない』って聞いて、逆に驚いたくらいだもん」
彩音と奈津に慰められて、余計に落ち込んだ。
勘違いしたって仕方ないじゃん。周りがそんなふうに思ってたくらい響はあたしに優しかったんだから。
球技大会で突き指したときは、心配して保健室まで付き添ってくれたし。
日直で重い荷物運ばされてるときは、代わりに持ってくれたし。
友達といても、あたしがそばを通ったらいつも声かけてくれてたし。
高2になって響と同じクラスになってからは特にそういうことが多かったから、ドキドキしたし勘違いした。
あたしが響を好きみたいに、響もあたしを好きかもって。



