塩素系と酸性系の洗剤を混ぜれば塩素ガスが生じてしまうのだけれど、私達もそんな風に相容れないのかしら?

「証明しますよ。過去の憎しみよりも貴女への愛情が勝っていることを、不可視な僕の愛を。これからずっと。」



優しく抱き締められた感覚とは裏腹な強い意志を持って語りかけられる。



「マフィアに隠された過去を、アイツラに盗まれた今を、取り戻します。闇が無ければ光は無いのですから。」



買い被った殺意と見誤った愛情。



愛か、絆か。



その答えは、どちらでもない。



「抜本的に見直さなければならないのは、私の染み付いてしまった狂った常識かしら。」



手から離れた凶器が作り出した鋭い音に、気付いたファミリーがここへ辿り着くまで後少し。



「前ボスでも、言うことはきかなければならないわね。」




全てを打ち明けてしまったのは『好きに生きなさい。』という、奥底に秘めた気持ちを理解しての遺言を託されたから。



「愛していますよ、葛霸さん。」



未来を重ね行く道はオフロード、しかし限りあっても逝くことは無い。



「愛しているわ、弑。」



檄を飛ばして教授を願えば、手筈通りに抗いましょう。



穢れを崇高と嘯く歴史とやらに。


食えない奴等が、いつか安らかな眠りにつく前に。