梅雨時のじめじめとした空気が少しずつ変わってきた初夏。


何年ぶりかの再開をした。



「お邪魔しまーす。総司くん久しぶり、誰だか分かる?」


「あれ、もしかしてお鈴さんですか?」


「そうそう、良かった。忘れられてたら如何しようかと」



私達は数年会ってなかったにも関わらず、まるで昨日会ったばかりの様に二人揃って楽しく冗談交じりに会話を進める。


しかし、全てが以前と同じと云うわけではなかった。

彼は其の明るさとは裏腹に、頬骨が浮き出るくらい痩せてしまい、偶に何処か苦しそうな表情が伺える。



私の所に便りが届いたのは約一月前。

彼、沖田総司が肺を患ったと。



「新しい嫁ぎ先は決まりました?」



彼はそう見えない様にと、明るく、からかうように冗談半分で聞いてきた。

新しい、と言うのは前の旦那様が病で亡くなってしまったと云う事だ。


だが、どんなに快活に振る舞っていてもそれだけでは隠せないものもある。

どれほど病が進行しているのかが手に取るように分かった。


そんな彼を見て、私も自身がこの明るさを壊さないようにと、冗談交じりで怒りながら返す。



「こんなおばさん貰ってくれる人何て中々居ないの。もう、大人になったんだからそんな事聞いちゃ駄目でしょ」



そう軽口を叩きながら私は一つ、思い出した。


私の以前の旦那様も労咳で亡くなったことを。



「ふふ、そうですか。良かった」



今 私の目の前にいる、彼と同じで。