泣く女は苦手だ。

特に脆くて繊細な女は扱いに困るから、俺はいつだって俺のことを好きな女を選ぶ。

それなのにどうしてかコイツとは幼なじみだし、腐れ縁だから仕方がない。


「そんなに悲しいの?」

「当たり前でしょ。本当に好きだったんだから。適当に遊んでる雪弥には分かんないよ」


うさこが3年の葉山が好きだということは知っていた。俺には相談しないけど女友達に話してるのを聞いたことがあるし、そもそも好きになるとわかりやすいからすぐに分かる。


「俺に適当とか言うなら葉山だってそうじゃん。お前以外に女がいたんだろ?」

なんで知ってんの?みたいな顔をしてるけど俺の情報網なめんなよ。


アイツが彼女と歩いてるの見たことあるし、しかも毎回違う女。学校では爽やかイケメンなんて言われてるくせに本性は遊び人だってことだ。


「お前って本当に男運ねーのな」

初恋の田口はマザコンだったし、中学の時の原田は隠れアイドルオタク。もう同級生は嫌だっていって家庭教師の川島とデートできるぐらいの関係になったのに結局既婚者で。

んで、高校入学してすぐ3年の葉山を好きになって結果がこれ。恋愛体質なのはいいけどもう少し学べよって感じ。