「ああ。元、だけどな。」

大粒の汗がびっしり浮かんだ顔を大ざっぱに拭いながら答えるレスク。

そのせいで表情はよく見えなかったが、これ以上はあまり踏み入って欲しくなさそうな気がして、ミェルナはそれ以上は聞かないことにした。

「そう。......本当に傷の治りが早いのね。」

話題を変えるようにミェルナは声をかけた。

スティーヌも言っていたが、レスクの体の傷はほとんど塞がりかけていた。

レスクは手際よく傷をよけながら体を拭き、もう手ぬぐいは脚のところまで来ている。

「ああ。もう少しすれば完璧に治る。そのちょっと前にはもう出発するぜ、これ以上迷惑はかけられねぇし。」

「そう。...あ、それ、こっちにちょうだい。着てた服も洗濯するわ。」

いつもすまない、とレスクは礼を述べてから籠に服と汗を拭った布を乗せた。

その籠は、実際の重さよりもずっと重く、ずっしりとミェルナの腕に乗っかっている気がする。

「じゃあ、わたしは洗濯しに行ってくるから。」

ミェルナはレスクの返事を待たずに茂みの中へ足を踏み入れた。