磨きあげられた剣が昼前の太陽をギラリと跳ね返す。

鍛錬を終え、息を切らしたレスクは、厳しい目でその鋭い光を眺めた。

「それ、どうしてもやらなきゃだめなの?」

剣を鞘に収め、汗をたっぷり吸った服を脱いで木の枝に掛ていると、ちょうどミェルナがレスクの洗濯物が入った籠を抱えて暗い洞の中から出てきた。

窓のない洞から明るい外へ出て目がくらみ、手のひらをかざすミェルナにレスクは当たり前だ、と答えた。

「遅すぎるくらいなんだよなあ.....大分、なまっちまってる。」

渋い顔で自分の筋肉を見る。

ミェルナも渋い顔でレスクの傷を見た。

「まだきちんと傷がふさがってないんだから、あんまり無理はして欲しくないんだけど。」

「だから平気だって。前も言ったけど、体だけは並のやつよりずっと丈夫なんだぜ?」

母親のおせっかいを嫌がる少年のような口調のレスク。

見た目よりずっと中身の幼いレスクがちょっとおかしくてミェルナは笑った。

「"体だけ"は?」

「揚げ足取るなよ。足も早いし、腕もまあまあ立つほうだぜ。」

自分で言うのもなんだけど、と謙遜を付け足すレスクに水を含ませた布を渡す。

「レスクは兵士なの?」