狼少年、拾いました。

 それは、もちろんその人がただの来客ではなく、唯一自分のことを邪険に扱わないゼーラだったからだ。

 「ゼーラ!」

 「ただいま!」

 最後に会ったときの沈んだ様子は見受けられない、明るい笑顔だった。

 (相手の人が意外といい人だったのかしら。)

 何はともあれ、以前と同じようなにこやかな顔を見ることができてほっとした。

 「元気そうでよかったわ。」

 「ええ……。町へ、行ってきたわ。」

 許嫁はどんな人だったのだろう。

 そしてその人と顔を合わせて、ゼーラはどう思ったのだろう。 

 「……。」

 ただどういう言葉をかけるのがいいかの分からなかった。

 それを察してかゼーラは話し出した。

 「…良くも悪くもない人だったわ。プベルトみたいに優しくもないし。」

 その名を聞いてあの口角の上がった顔が思い浮かび、どきっとした。