「おう。この“送りあ”があれば“向こう側”のモノでも倒せるんだ。 」

 興味を引かれてその石を覗き込む。

妙につやつやと光を跳ね返すその石の黒さは、ずっと見ていると吸い込まれてしまいそうだった。

 「これがその“送りあ”なの?」

 「他のおんなじような石じゃダメなんだぜ?こっち側のものに向こう側の力が宿ると“送りあ”になるんだ。これは石だけど、色んなもんに宿るんだってさ。笛とか髪飾りとかな。」

 巧みな説明につられてついつい珍しい物に目を凝らしてしまう。

 「ふうん…。ていうかそんな大事なことわたしなんかに話して大丈夫なの?」

 「どういうこと?」

 「だってわたしが根性の腐った人間だったらどうする?お金欲しさにあなたを殺して、それを売っちゃうつもりだったら。」

 ミェルナの問いに拍子抜けしたようにレスクほんの少し尖った歯を見せて大きく笑った。