狼少年、拾いました。

 今のところ目に入る薬草の中だけでも食材とはとても釣り合わない高価なものが沢山ある。

 遠くの町で食料を仕入れてそれをここまで持ってくる労力を考慮してもだ。

 (相当嫌われてるみたいだな、この子。)

 手際良くかまどの火を起こしはじめた後ろ姿を見る。

 調子が狂うことを言うことはあるが、決して心根は悪くないはずだ。

 長いこと色々な人と関わってきたレスクの勘がそう告げている。

 (まぁ勘も外れるしな。怪しい“保護者”もいることだし、世話になるだけなってさっさと離れるのが良策だな。そろそろあの時期も近いし。)

 彼女の両親は、話から察するにいないのだろう。

 それは彼女が村人から忌み嫌われているのと何か関係があるのだろうか。

 ミェルナが野菜を刻む音を聞くともなしに流しながら、レスクはもう一度小屋の中を見回す。

 石を積み立てて出来た壁に小さな窓がはまっていて、窓際には花一輪もなく深い森が見える。

 天井は低く、その梁からは数々の薬草がぶら下がっている。

 自分が寝かせられている寝台の脇には裁縫道具と布が数枚、作りかけの巾着がかごにきちんと入っていた。

 向かって右奥には炊事場と暖炉、それに本がぎっしり詰まった本棚が窮屈そうにならんでいた。

 反対側には扉と小さな木の椅子。

 その時ふとある匂いが届き、レスクは高い鼻をひくひくと動かした。