狼少年、拾いました。

 「想像するのは勝手だがもう少し静かにしてくれないか。」

 先程と同じように眠っている少女を気遣いながら声をひそめる。

 「悪い悪い…で、その子はあんたの何なんだ?娘か?」

 「まあそのようなものだ。」

 「似てないもんだな。」

 少年の冗談に、細い三日月のような口を歪ませてスティーヌは苦笑いした。

 そのとき、その体の向こうの窓際の毛布がもぞもぞと動いた。


 スティーヌと知らない誰かが話しているのを、ミェルナは寝起きのぼんやりとした意識のなかで聞いていた。

 「起きたか。」

 スティーヌの一言で水をかけられたように意識がはっきりし、しっかり記憶が戻ってきた。

 手当てをした怪我人のことを思い出し、ガバッと跳ね起きる。

 「あの人は?」

 「気が付いた。話も出来る。」

 そう言いながらスティーヌが脇へどくと、寝台に上体を起こしている黒髪の少年と目があった。

 その不思議な眼を、思わず見つめてしまう。