狼少年、拾いました。

 分影子〔ぶんえいし〕とは、自分の影に“咒術で自我を生んだもので、いわば式神のようなものである。

 少年も何度かその姿をみたことはあるが、ここまではっきりと形を成しているものは初めてだった。

 「分影子?にしちゃちょっとくっきりしすぎじゃね?」

 スティーヌはまた肩をすくめる。

 「そんなこと私の知ったことではない。」

 そして少年に詰め寄った。

 「とにかく約束してくれ。」

 その口調と目の力に何かを感じ、少年は頷いた。

 「分かったよ。」

 「それともう一つ。私達に危害を加えるそぶりでも見せれば、殺す。」

 静かに、だがとんでもない気迫を込めて詰め寄ったスティーヌに反して、レスクはおびえる様子もなく肩をくすめた。

 「そんなことしないさ、誓うよ。だからさ、」

 ちら、と目で奥にある本棚の方を示した。

 「そこに隠してある俺の剣、返してくんない?」