おぼつかないながらも何とか最後の包帯を結んだ。

 「ここまでやれば後は様子見だ。」

 スティーヌの一言にミェルナは大きなため息をついた。

 「手当てってこんなに大変なのね。」

 目の前の寝具で寝息を立てている怪我人に目をやる。
 
 黒い髪が昼の日差しを柔らかく跳ね返している。

 日に焼けた肌に巻かれた白い包帯が痛々しい。

 傷の縫合なんて初めてやったが、きちんと出来ているだろうか。

 (心配だけどスティーヌがついててくれたから大丈夫かな。)

 「これでも飲んで一休みした方が良い。疲れただろう。」 

 スティーヌが茶を差し出してくれた。

 確かに、疲れていた。

 今日もまだ昼だというのに、色々なことがありすぎた。

 熱い茶を口に運ぶと、ほっと体の中の小さな何かがおりたような気がした。

 が、すぐに色々な疑問が渦を巻きだした。