狼少年、拾いました。

自然なふうを装って答えたが、相手にはどう写っているかどうか内心不安で仕方がなかった。

針のような鋭い視線が刺さる。

しかしその視線は男たちのどちらでもなく、ゼーラのものだった。

(ゼーラ……?)

唯一の友人の今まで見たことのない目付きに息がしづらくなってくる。

ミェルナは大切なものを失ってしまったことを悟った。

若い方の男がミェルナの持っている籠を指して口を開いた。

「失礼だけど、その中身は?」

さらに心臓がドキッと大きく脈動した。

3人分……明らかにミェルナが1人で食べるには多すぎる量の食事が入っている。

「食事です。」

「中を開けて見せろ。」

すかさず髭面の男が厳しい声で言った。

手が震えそうになるのを必死で抑えながら、藤の籠の蓋をあけた。

「おや、随分沢山。」

若い方の男が笑いを含んで言ったが、ひととき目が鋭く光ったのをミェルナは見逃さなかった。

「わたし大飯食らいなんですよ。恥ずかしいな__。」

ゼーラのけたたましい高笑いでミェルナの言葉は遮られた。

その可愛らしい見た目からは想像もできないほどのどぎつさを含んだ笑い方に、年配の方の男は少しぎょっとした様子だった。

「ほんっとに馬鹿らしい!嘘つくのもいい加減にしたら!?この人達が探してる男の人をこの先の泉で見かけた時、ミェルナの家にあるものを持ってたの――。」

ゼーラが言い終わるかいなかのうちに、凍りついたミェルナの耳元でスティーヌの声が響いた。

「もう誤魔化せないな、逃げろ。」