淡々と悪口を述べる高校生に何も言い返せない主婦達は、さっさとその場を去っていった。


「フン、害悪が」


あの高校生……どこかで見たことがあるような……。


あ………。

そうだ、あいつは………!


「い、伊藤……」


僕は、中学時代の友達の名前を、言った。

するとどうだろう。
高校生は反応し、こちらを向いた。


「………お前、木戸か?」

「やっぱり、伊藤じゃないか!」


そう、彼は僕の友達の、伊藤義也だったのだ。

次々と懐かしい思い出が、僕の頭に浮かんでくる。


中一の頃は、よく一緒にゲームをして遊んだ。
特にやったのが、対戦型のパズルゲーム。
伊藤はやたらとゲームがうまかったから、僕が勝ったことは一度もなかったけれど。


「久しぶりじゃんか!
てか、めちゃめちゃ背高くなってるし!」

そう言って、伊藤は僕の肩を叩いた。

伊藤に肩を叩かれるのは中学の時以来で、その感覚がやけに懐かしくて、僕は嬉しかった。