目指す場所はただひとつ。

例の、右腕が捨てられていた川のところだ。


まだ右腕が発見されて二日しか経っていないせいか、川にはたくさんの野次馬がいた。

暇そうな専業主婦が、大きな声で喋っている。


「怖いわねぇ、右腕が切断されていただなんて」

「そうそう、それにネットの掲示板?かなんかじゃあ左腕の写真も出されていたそうじゃない!

この街は平和だと思っていたのにねぇ~……」


本人達はヒソヒソと喋っているつもりなのだろうが、三十メートルほど離れた僕のところまで丸聞こえだ。


「大体、ネットなんて何が起こるかわかったもんじゃないわよ」

「そうそう、ネットにのめり込む子も、最近多いわよねぇ。
そういう子に限って、成績がどんどん落ちてくのよ」

「ほんとほんと」

「そうそう」


そこへ、一人の男子高校生がやってきた。


「うっせーーーよ、バ・バ・ア」