僕がそう言うと、彼女はハッと目を見開き、僕の顔を見た。


「敏明……君?………」



よかった、思い出してくれたようだ。

これで、話がスムーズに進む。


「実は、大輝のことで話があ…」

「帰って!!」


『話があるんです』と言おうとしたが、彼女の大きな叫び声にそれを遮られてしまった。


「帰って、帰ってよ!!

もう、もう大輝のことは聞かないで!!

心無いマスコミにも大輝のことをたくさん質問されたわ!

こっちは、一人息子が死んで、もうこれ以上にないほど悲しくて、悲しさすら超越した虚しさで、心にぽっかりと穴が開いたようなのに………」