ぼーっとしているのか、大輝の母親は、反応を示さない。


「大輝のお母さん……ですよね?」


あまりにも最後に会ったときと雰囲気が違いすぎているので、僕は思わずそんな当たり前のことをたずねてしまった。


「はい……そうですけど………。

あなた、誰ですか?」


つい最近僕と会ったのに、彼女はそんなことを口走った。

僕と会ったことを忘れてしまうほど、彼女にとって、大輝が死んでしまったことは、かなりショックな出来事であることがうかがえる。



「僕です。
昔から、大輝と仲良くさせてもらっている、木戸敏明です」