わざわざ、僕なんかのために……。


「ありがとう……春菜さん…」


僕は、春菜さんに頭を下げてお礼を言った。


「いえいえ、私が来たかっただけですから」


春菜さんは、少し恥ずかしそうに笑っていた。

その笑顔は、どことなく、昔の小幡に似ていた。



特に怪我をしていなかった僕は、すぐに退院することができたが、警察からの事情聴取や、マスコミからのしつこい取材等が相次ぎ、
結局僕がゆっくりできるようになったのは、退院して四日後のことだった。



「ふう……」


ベッドの上でごろんと横になり、僕は天井についた一つの染みを見つめる。
特に意味はない。