大輝の言葉に悲しみと怒りを感じた僕は、無意識に大輝の顔を殴っていた。


「きゃあ!!」


野次馬の中にいた一人の女が、悲鳴をあげる。


「じゃあ、お前の望み通り家でずっと引きこもってやるよ!
証拠探しなんてもう知るか!

一人でやってろ!!」


吐き捨てるようにそう言うと、僕は早足でその場を離れた。

野次馬達からたくさんの奇異の視線を浴びたが、そんなの気にしなかった。


ただ、僕は大輝に言われた言葉のほうが胸に突き刺さるようで、苦しかった。


もともと、成績なんかを理由に小幡をいじめていたような奴だ。

もし、僕が二年のときに大輝と同じクラスになっていたら、小幡と同じくらいの成績だった僕は、小幡と同じように大輝からいじめられていたかもしれない。

そんな奴だから、きっと僕が高校受験に落ちたことも、ずっと馬鹿にしていたんだ。