『いや、いいんだよ。

敏明と小幡は、仲が良かったもんな。

そりゃあ、小幡が犯人だって言われたら、戸惑うだろうし、怒るに決まってるよ。


俺だって、敏明が伊藤を殺したって誰かに言われたら、戸惑うし、怒るからな』

「おいおい、笑えない冗談だな」

『ははは』


大輝が笑ったので、僕は安心した。
大輝の笑い声を聞いたのは、何年ぶりだろう。


「でも…小幡が殺したという証拠は………まだないんだよな」

『そうなんだよな……そこが問題なんだ。
物的証拠さえあれば、警察につきだせるのに』