「安元公正との接点がなければ、小幡の安元公正に対する恨みもない。殺害する動機もない。

小幡が犯人とはいえない。

だろう?」

「だけど、小幡なんだ!

だって、だって………。

伊藤が………伊藤を……伊藤を殺すようなやつなんて………だって、だって………」


子どものように「だって」を繰り返す大輝。


「だって、だって、だって…………………」


「大輝……話はそれだけか?

ならもう………帰ってくれないか?」

「敏明……」


「もう………帰ってくれよ………」


「………わかった」



そして、大輝は帰っていった。



僕は家の中でひとり、椅子に座ってうな垂れていた。