*オレを嫌いなキミが好き。*日本一(ピュア)の総長 × 日本一暴走族嫌い女子*




「はぁー」

今度は足元を見ながら深呼吸。

今朝起きてから何度こういう深い息をついたか分からない。

走ってもいないのに、ずっと胸がドキドキして止まらないせいだ。

腕時計を見る。

あと2分で彼の電車が着く時刻。

……竜憧くん……来るよね?

はやく会いたい気持ち、極度の緊張で走り出したい気持ちがごちゃ混ぜになりながら、ほとんど睨むように改札を凝視していた。

そして、その改札の向こうに現れた彼を見つけたときは、心底嬉しかった。

視界にとらえたとたん、これまでの倍くらい騒ぎ出す心臓…………。

私はそっと丸い柱に隠れて、竜憧くんの様子を観察してみることにした。

かなりの不審者っぷりだけも、いまの自分を客観視する心の余裕はない。

歩くたび揺れるアッシュの髪も、ちょっぴり猫背なところも、なんか可愛い。

ぜんぜん私に気づいてない…………。