大きな声にハッとする。痛みで現実に引き戻った。

目の前には見上げるほど大きな男子が立っている。そして、心配そうに私を覗きこむ瞳と目があった。

「いま思いきり鼻打ったやろ!?血ぃ出てない?」

身長だけじゃなく声も大きい。(しかも関西弁て?)

同じ1年生ならだいたい知ってるけど、見たことがない顔だ。

それに制服の色が少し違う。うちは紺のブレザーだけど、この人が着てるのはネイビー系。

(転校生!?)

「あ!やっぱ血ぃ出てる‼」

「…………え!?」

慌てて鼻をおさえていた指を見ると、真っ赤な鮮血に染まっていた。

は、鼻血ぃ!?

血に気づいたら痛みなんか一瞬で引いて、恥ずかしさが込み上げてきた。