恋は世界の片隅に【短編集】




「じゃあ……ここでいいよ」



隼人の出発の日。


私は“幼馴染みとして”空港に見送りに行った。


必死に涙をこらえて。

必死に想いを隠して。




「体に気をつけてね」


「結衣も。あんまりハメ外しすぎて留年すんなよ」


「もうっ……」




私達が笑い合っていたのは、ほんの束の間だった。



出航のアナウンスが、私達を切り裂いてく。



「じゃあ、行くわ」


「うん……またね」



弱々しく、右手をあげる。