歌を口遊む小鳥はいつか、大空へ羽ばたく。



 心配はしないが、興味はあるようだ。彼女らしいぶれない態度に思わず笑ってしまいながらも、次を繋げる為に口を開いた。


「うん、昨日わたしが繁華街から出て行くのを見たんだって」

「……は?それだけ?」

「いや、それがどうもエータと一緒だったらしい」

「まさかソレで勘違いされたとか?あそこら辺ラブホ多いモンねー」

「わたしは違うよって言ったんだよ?でも距離が近過ぎるって言われたらさあ」

「アイツで近いとか、他の奴等と一緒に居るの見られてたら蹴りも入ってたかもね」

「キョ、キョーコさん……」


 先程から態とらしく辛辣な言葉ばかりを選んでいるように見えるのは、館林杏子(たてばやし きょうこ)――クラスメイトの一人だ。入学した当初から仲良くして貰っている。

 一見派手でだらしがないように見える彼女だが、実は面倒見の良い姉御肌なのである。


「で、別れようって?」

「ん?直接は言われてないけど、多分そういう事だと思う」

「直接は言われてないいいい?」

「うむ、話長過ぎてあんま聞いてなかったんだけどね、最後“死ねよ”って言ってたから」

「は?冗談でもそんな事アタシの飛鳥(あすか)に抜かしたの、アイツ?殺す」

「ひいいい!キョウちゃん怖い!」


 両腕を抱き抱えるようにして身体を震わせれば、面白く無さそうに長い睫毛が数度瞬いた。