(―――まあでも、)
良い天気だなあ。
そう、包まれた夏に向かっている穏やかな陽気にふわふわとした気持ちのままでいるわたしもきっと可笑しいのかもしれない。
「マジ死ねよ」
それからも色々な言葉を吹っ掛けられた気はするが、最後に向けられたのはあからさまに嫌悪を滲ませたそれだった。
気付けば既にカズヤは背中を向けて歩き出していて、その数十秒後には姿も見えなくなっていた。相変わらず猫背の怠そうな姿だった。
「うーわ、アンタ何して来たの?」
洒落た洋楽のBGMが掛かる中、まるで遠慮の無い言葉に咄嗟に頬を押さえた。平然とした顔で戻っても流石に色の変化までは誤魔化せなかったらしい。
綺麗なネイルの施された指先を眺めながら、小さく笑って目の前に腰を下ろす。
「急にカズヤと用事出来たからちょっと席外すーとか言って殴られてきたワケ?」
「べっつに叩かれたくて叩かれた訳じゃないよ!」
隠し立てするだけ無駄だと分かっているので、素直に暴力を受けた旨を認めた上で唇を尖らせた。
「何?カズヤってそんな手ェ早いオトコだったっけ?」
「うーん、いや、普段はそんな事無いんだけどね、ちょっと思い込みが激しくて感情に任せちゃう所があるっていうか」
「何ソレ。DVの典型パターンじゃん。別れて正解だわ」
「で、理由は?」と彼女が続ける。

