歌を口遊む小鳥はいつか、大空へ羽ばたく。



 噂話というのは駆け巡るのが速い。良い事も嫌な事も、次の日には自分と関わりの無い人間までもが知っているのだから怖いものだ。

 それも殆どの場合、自分でも知らないような余計な文言が後ろに付いていたりする。

 そう言った類の話には証拠等必要無い。

 ただ誰かが愉しんでいるだけ。ただ誰かが嗤うネタになっているだけ。それだけの話。きっとその本人を知らない人達は、それで傷付く誰かが居るなどと思いもしないのだ。遊んでいるだけなのだから。


「うん、別れたねー」

「なら俺にも少しぐらいチャンスあるかな?って思って」

「じゃあわたしの噂、やっぱ知ってるんだー?」

「え?」

「オトコが変わるスパンが早い、とか?誰にでも股開く女、とか。あとは、そうだなあ。援交してる、なんてのも一時期あったっけ」


 そのうちの殆どは根も葉も無い噂でしかなかったが、結局のところ、本人にそれを否定する術は無い。赤の他人にまで届かせる程の声は持ち合わせていないのだ。

 わたしが歯に衣着せぬ物言いで尋ねれば、ハルマの表情が苦々しいものへと変わる。

 しかし彼は僅かに首を上下させた。