「―――好きです!」
「うん、いいよ」
「へっ?」
素っ頓狂な声が上がった。
目の前で頭を下げたまま顔だけを此方に向けている少年は、わたしの回答に余程驚いたのか事態が呑み込めないというような表情を浮かべている。
名前を“佐々木春馬(ささき はるま)”と言うらしい。
「お、俺が言った事理解出来てます?」
「失礼な」
恐る恐る、それなのに馬鹿にした言い草をするものだからついむっとしてしまう。不満げな色が顔に滲んでいたのか、少年――ハルマははっと息を詰めて、次いで慌てたように首を横に振った。
「いや、そうじゃなくて!だって俺、今告白を――」
「うん、だからいいよって」
「いいよって、そんな簡単に!?先輩が今フリーなのは調査済みですけど、でもそんなすぐオッケー貰えるとか思ってもみなかったんでちょっと信じられない……」
「じゃあ付き合わないの?」
「そ、そういう事でもなくって!」
はっきりとしない態度に、思わず嘆息する。
項垂れつつ肩を落とす少年は、宛ら仔犬を彷彿とさせる。どうやら彼はわたしの中学校の時の後輩だったらしい。

