「え?」
今回、声を出したのはわたし。
(……嘘、でしょ)
名前を呼ばれた本人も衝撃のあまり声を失い、教室は先程よりも異様な静寂に包まれ。そして呼吸をするのもままならないような息苦しさに襲われた。
声も無く誰もが興奮しているのがびりびりと空気に乗って伝わってくる。
密かに常に周りがこれでは彼もさぞ生き辛かろうと思う。
だって彼も意図して影響力を持った訳ではない。望んでその顔に、声に、性格になった訳ではないのだ。
四六時中“見られている”という意識が付き纏っているのは、どれ程のものなのだろう。
「キョーコちゃん?」
「ふ、え!?」
中々反応しないキョウちゃんに不思議そうに首を傾げるのは、“たかなしくん”。
彼が一文字一文字を発するごとに、痺れたような空気が広がっていくのを感じる。普通の乙女となって挙動不審に視線を泳がせる友人の姿は、それはそれは可愛らしい。
ショウちゃん達に暴言を吐く普段の彼女からは想像も出来ない姿だ。

