歌を口遊む小鳥はいつか、大空へ羽ばたく。



「お、おはよう。ユキちゃん、朝練終わったの?」

「まあね。それで?雰囲気可笑しくない?」

「あー、うん」

「今軽く事件が起きてね」

「事件?」


 エータが冗談めかした口調で言えば、単語をオウム返しするユキちゃん。確かに事件と言えば事件だったのかもしれない。

 少なからず、数十人が存在しているのにも関わらず誰一人として口を開かない空間は居心地が良いとはお世辞にも言えなかった。此処に居る全員が彼のファンな訳は無いのだろうが、やはり自分達の――キョウちゃん本人は特にだろうが―― 一挙一動が注目されている気分になってしまう。

 悪い事など一つもしていない筈なのに、居た堪れない気持ちになるのだ。


「そう。昨日の合コンの話」


 気まずそうに視線を机の上に落としたキョウちゃんの代わりに、エータが答える。


「ああ、キョーコが行くっつってた?」

「うん。其処にね、たかなしが来てたらしい」

「……、はあああああ!?」

「マ、マジで言ってんの!?」

「ソレをキョーコが大声で叫ぶからこんな雰囲気にね」

「成程……」

「なるわー。そりゃそんな雰囲気にもなる」