歌を口遊む小鳥はいつか、大空へ羽ばたく。



「何ソレ、何の冗談?全然面白くないんだけど」


 キョウちゃんが鼻で嗤う。

 彼が去って数分、クラスメイトの大半は未だ色めき立ったようにその存在について語っている。


(こわー……)


 今此処で“たかなし教”という教えが成立したとしても、何の不思議も無い。彼の存在、声、仕草、視線はとても大きな影響力を持っている。


「まあ確かに?アタシも一度で良いからアレに抱かれてみたいなーとかは思うけど」

「キョ、キョウちゃん!?」

「何今更カマトト振ってんの、アンタも。別に初めてじゃあるまいし」

「ひょ、ひょー……」

「キョーコ、あんまり飛鳥の事苛めないでくれるかな。キョーコと違ってナイーブな女の子なんだから」

「エータは飛鳥に甘過ぎだから」


 キョウちゃんとエータの間で、ばちばちと火花が散る。

 二人は決して仲も悪く無いのだけど、時折こうしてダイヤモンドダストを飛ばす事がある。それもいつもの事なのでショウちゃんもユキちゃんも大して気にした素振りを見せず、「悔しい、悔しい」と繰り返す。