歌を口遊む小鳥はいつか、大空へ羽ばたく。



 ショウちゃん達とは違うけれど。

 言わんとする事は分からなくもない。

 きっと彼は“たかなしくんだから”と許される事も沢山あるに違いない。わたし達とは違う。はしゃいで騒いで、今を楽しむ事に精一杯で、と普通の生活を送っているわたし達とはどこか違う次元で生きているかのように思えた。

 根本から綺麗に染められた傷一つ無いクリーム色の髪の毛も。

 右サイドだけに作られた器用な編み込みも。

 二重瞼の垂れた瞳も。

 左目の下にある黒子も。

 甘ったるい、けれど強過ぎない香水の匂いさえ。

 全てが現実離れしているように感じられるのだ。

 決してファンとは言い難いわたしですらそう思うのだから、好意を寄せている他の人間にとったらアイドルも同然なのかもしれない。

 近付きたい、しかし近付きたくない。

 見ているのが丁度良いという、遠い存在。

 それなのに途切れる事無く彼女が出来ても誰も何も言わないのは、彼の為人(ひととなり)が為せる業なのだろう。


「あーあ、俺もたかなしになってみてーわ」


 ―――彼は決して“ノー”とは言わないらしい。