きっと彼が一言口にすればそれは絶対なのだろう。
叶わない事など何一つとして無いのかもしれない。
現にこの学校で彼を知らない人は居ないし、生徒どころか教師であっても彼を悪く言っているのを聞いた事が無い。素行の悪さも全てその容姿にカバーされてしまっていた。
「たかなしくん、待って!」
ふわり、甘ったるい香水の匂いが辺りを包む。
その後を一人の女生徒が追い掛けて行った。
「ア、アレが今の彼女、なのかな」
彼が教室の前を通り過ぎて、僅かに張り詰めていた空気が一挙に緩む。声も発していない――その存在だけで雰囲気すら変えてしまえる、稀に見る人たらしとは彼の事だろう。
「成績優秀、眉目秀麗。その女癖さえ無きゃねえ」
頬杖を突きながら、嘆息するキョウちゃん。しかしながらその視線は未だ彼が去って行った方向に向けられていた。
「それでも一晩だけで良いからイイ目みたいっつー女子も多いんだろ?流石だよなあ」
「なーに、ショウ。羨ましい訳?」
「羨ましくない訳ねーだろおおおう!男の夢だろ、フツーに考えて」
「なあ!女侍らせてウハウハして、ホテル代も女に出して貰ってって。羨まし過ぎるぞコンチクショー!」
「飛鳥、俺は違うからね」
「ああん!?この野郎、エータ!裏切り者め!」
「俺はこんな猿達とは違うから」
「猿だと!?」

