キョウちゃんに指摘されきょとんとした表情を浮かべるエータは、まるで心外だとでも言いたげだ。それもその筈、わたしですらカズヤに言われて呆れ返ってしまったのだから。
「何かほら、皆で繁華街のゲーセンで遊んだじゃん?」
「俺は行ってねえけどな!」
「う、うん。部活やってたユキちゃん以外だけど。で、その帰りエータと繁華街から出て来るのを偶々見掛けたらしい」
「まさかそれで浮気だって?」
「みたい」
わたしもいまいち彼の思考回路が分かっていなかった為、曖昧に頷いた。
恐らくそういう事なのだろうけれど、あの時の彼はただ言いたい事だけを怒鳴るように口にしてさっさと立ち去ってしまったから、確かめる術はもう無い。
自分から連絡をする気も無かったし、電話番号を保存しておく気も無かった。わたしにとって彼はもう去って行った過ぎ行く人間。
過去の記憶に埋もれたのだ。
「はー、それにしても思い込み激しい奴だったな!」
ユキちゃんはショウちゃんの机に浅く腰掛けると、興味深げに瞳を瞬かせる。
誰もわたしを慰める言葉を掛けないのは、いつもの事だからだろう。
そんな彼等にとってもカズヤは既に時の人。もう思い出される事も殆ど無いのに違いない。
「いやしかしだからと言って飛鳥の顔に傷を付けるなんて許されな――あ、」
エータが不快感露わに言い出して、それを途中で止めた。

