歌を口遊む小鳥はいつか、大空へ羽ばたく。



「つか飛鳥ちゃん、昨日カズヤと別れたってマジ?」


 彼の噂を持って来た少年――真淵渉(まぶち しょう)が隣の席から身を乗り出してくる。


「え?うん、別れたよ」

「って、もしや殴られた?」

「あー、分かる?腫れてる?」

「や、腫れてるっつうか、ちょっと赤い」

「うわー、一応家帰って冷やしたんだけどなあ」

「よし、ちょっと俺殴り込み行って来る」


 拳を作ってぽきんと関節を鳴らすのは、後藤雪路(ごとう ゆきじ)だ。仔犬のように人懐こく愛嬌のある笑顔と誰にでも平等に接するその人間性で、たかなしくん程ではないにしても女子からの人気を集めているらしい。

 運動が好きで、サッカー部に所属している。


「今回は一ヵ月位?」


 不意に頭に温もりを感じ、驚いて後ろを振り返る、と。


「うん、おはよー、エータ」


 わたしの頭を撫でている向井瑛太(むかい えいた)が居た。


「出たよ、別れ話の元凶」

「え、俺?」